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最高裁判所第二小法廷 昭和36年(オ)1077号 判決 1963年3月29日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人荒谷昇の上告理由一について。

競売法三二条二項によつて準用される民訴六八七条によつて発せられた不動産引渡命令は、その性質が執行の方法に外ならないから、右命令の相手方とされた者がその執行の排除を求めるために民訴五五九条一号、第五六〇条、第五四五条により請求異議の訴を提起することは許されない。このことは大審院および当裁判所の判例の趣旨とするところであつて、今なおこれを変更する必要を認めない(大審院昭和七年(ク)第一二〇〇号同年一〇月四日決定民集一一巻一八九七頁、最高裁判所昭和三一年(オ)第七六五号昭和三五年八月四日判決最高裁判所裁判集民事四三号四九七頁各参照)。右と同趣旨に出た原判決は正当であつて、論旨は採用できない。

同二について。

原判決は、不動産引渡命令に対し請求異議の訴をもつてその執行力の排除を求めることは許されないとの理由により控訴人(上告人)の請求を排斥したものであるから、所論は判決の傍論を非難することに帰する。論旨は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介)

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